蹉跌日記

OLの蹉跌

24.04.18

冬の間とんと見かけなくなり密かに心配していた紙飛行機おじさん(仮名)が、春になり公園に復活した。

紙飛行機おじさんは、晴れた日の朝9時から11時くらいの時間帯、ほぼ毎日近くの公園に現れる。そして、ひとり、淡々と紙飛行機を空に飛ばす。彼が輪ゴムを使い、ピッと飛ばす白い紙飛行機は、ふわふわと波のような軌道を描き青い空を高く飛び続ける。驚くべきことに、その滞空時間は30秒を悠に超える。私はそれほど長くとぶ紙飛行機を今までみたことがなかった。昨年の4月ごろも見かけており、一度ゆっくり観察してみたいなと思っていたが、基本朝は遅刻寸前なので毎日駆け足の横目で紙飛行機を見るしかなかった。

 

今日、珍しく早く起きることができたのでコンビニで買ったあんパンとコーヒーを片手に、公園の端のベンチからおじさんを観察した。おじさんは紙飛行機をとばし、ぼーっとそれをみてキャッチして、また飛ばす、の作業をひたすら繰り返していた。彼は休憩もしなければ、滞空時間を測るわけでも、動画を撮るわけでもない。ただ飛ばした紙飛行機をぼーっとみていた。

え、なにしてんだろ、あの人。よっぽど暇なんだろうか。FIREしたんだろうか。ゆっくり見たところでなぞは深まるばかりだった。

30分ほど見ていたが、さすがに出社しなければいけない時間になり、ベンチから黒くて重い鞄を持ち上げた。その瞬間なんだか急におじさんが羨ましくなり、わたしもはやくああなりたいなと思った。